半年かけてそろばんに興味を持ってもらう準備を終え、我が家はいよいよ、夏の短期レッスンでそろばんデビュー。初日は「楽しかった!」、2回目には「そろばん、つまらない!」。たった4回のレッスンで、これほど感情が揺れ動くことになるとは思っていませんでした。
「合わなければ、すぐやめればいい」。最初はそれくらいの気持ちでした。4歳なので、まだそろばんが早すぎる可能性もあります。嫌がるようなら無理をさせるつもりはありませんでした。
石戸珠算学園には、無料体験レッスン(50分×1回)と、有料の夏の短期レッスン(50分×4回)という、2つの入り口が用意されていました。無料の方が当然お得ですが、我が家は迷わず有料の4回コースを選びました。理由はシンプルで、たった1回の体験では、子どもが本当に続けられそうかどうか、親も判断できないと思ったからです。おそらく、教室の先生にとっても、1回だけでは「この子に合っているか」を見極めるのは難しいのではないかと思います。多少お金がかかっても、4回分の様子を見てから判断する方が、後悔が少ないと考えました。
ちなみに、もし継続することがほぼ決まっている場合や、とにかくコストを優先したい場合は、無料体験レッスン(50分×1回)から始めて、そのまま入塾する方が無駄がありません。また、月の途中からの入塾でも日割りにはならず、月初めから正式に通い始めると、その月の月謝がまるまる1回分プラスでかかってしまうことがあります。もし短期レッスンや体験を経てから継続を決める場合は、月の真ん中あたりから正式スタートするようにスケジュールを組むと、余分な出費を避けやすいと思います。
ところが、実際に4回のレッスンを受けてみると、親の方が毎回一喜一憂することに。今回は、その4回の様子をできるだけそのまま記録しておきたいと思います。
1回目――優しい先生と、得意げなドヤ顔
初回は、親の私の方がかなり緊張していました。担当してくださった先生がとても優しく、教え方も丁寧だったので、まずはそこで安心しました。
意外だったのは、レッスンの形式です。そろばんで珠を弾いて計算するだけかと思っていたのですが、実際には紙の計算用プリントが配られ、そろばんで弾いた答えを鉛筆で記入する、という形式でした。そろばんは、鉛筆を持って弾くのが基本のスタイルなのだそうです。これは正直、知りませんでした。
そしてもう一つ、初日から予想外のハプニングがありました。持って行った鉛筆が、レッスンが始まって早々に折れてしまったのです。1本しか持たせていなかったため、その場で困り果てていたところ、先生が気づいて予備を貸してくださいました。鉛筆は複数本用意しておくべきだと、初回にして痛感した出来事でした。
ただ、これが息子にとっては、そろばんそのものより大変そうでした。まだ年中(4歳)で、字はまだ大きく、お世辞にもきれいとは言えません。数字を鏡文字に書いてしまったり、横向きに書いてしまったりすることもあり、答えは合っているのに、書く作業の方に時間がかかっている様子でした。
レッスンが終わって本人に感想を聞くと、開口一番「楽しかった!」。この一言で、かなりホッとしました。
この日の問題は「3-1-1=1」くらいのレベル。初めてのそろばんでしたが、何となく理解して取り組めていたようです。ただ、答えが「0」になる問題は、まだあまりピンときていない様子でした。
先生に褒めてもらったことも嬉しかったようで、本人はすっかり得意げ。私も正解するたびに少し大げさに褒めていたので、見事なドヤ顔を見せていました。
その日の夜、夕食を食べながら「次いつ行くの?」と聞いてきました。「水曜日に、早めのお迎えで行くよ」と答えると、嬉しそうな顔。翌日にも「また行きたい」と言っていました。初回としては、かなり好感触です。
この段階で、先生からは「週2回で続けてみましょう」という話もありました。私自身はまだ週1回くらいを想定していたので、いきなり週2回という選択肢が出てきたことには、少し驚きました。
2回目――5の珠でつまずき、「そろばん、つまらない!」
ところが、2回目で早くも雲行きが変わります。
この日は「5の珠」を使った問題に取り組みました。「5-5+2=2」のような問題です。5の珠は、人差し指を使って動かします。ところが本人は、どうしても親指を使いたくなってしまう。指の使い方を直されることがストレスになったようです。
そして、開始から15分ほど。「そろばん、つまらない!」。ついに出ました。
初回があれだけ好感触だっただけに、親としてはちょっとショックです。それでも先生に励ましてもらいながら、その日の目標だった問題は何とかクリア。ただ、その後の10分ほどは、問題ではなく塗り絵をして過ごしました。
「思っていたより早く、壁にぶつかったな」というのが、この日の感想でした。
帰り道には、ご褒美としてアイスクリームを買いました。このときは「頑張ったから今日はアイスでいいか」と思ったのですが……。後から考えると、これが毎回の恒例行事になってしまうのは、ちょっと考えものです。
3回目――今度は6の珠で失速
3回目は、妻が付き添いました。
この日は「6の珠」の練習。ところが、これも本人には難しかったようです。指の動きがうまくいかず、15分ほどでまた集中力が切れてしまいました。
「2-1+3+5-5=4」のような問題を5問、15分ほどかけて解いたものの、6の珠を使う問題は1問しかできなかったそうです。
問題を解くのに苦労して、この日は少しごねる場面もありました。そこで先生が、数字を書く練習用のプリントを渡してくれました。1回目に触れた「字を書くこと自体の難しさ」を踏まえた配慮だったのだと思いますが、同時に、そろばんの問題から一旦離れる、気分転換の意味合いもあったのではないかと思います。実際、これで少し気持ちが切り替わったようでした。
正直、この回が一番心配でした。5の珠でつまずいたと思ったら、今度は6の珠。「これは本当に続けられるのかな?」という気持ちも出てきます。
ただ、一つ救いだったのは、レッスンが終わった後に「もう行きたくない」とは言わなかったことです。次の水曜日も、おそらく普通に行くだろう。そんな感触はありました。
とはいえ、親としては「また15分くらいで飽きるのかな」とも思っていました。
この頃、レッスンには毎回親が付き添っていましたが、これがいつまで必要なのか気になっていました。石戸珠算学園のホームページの「よくある質問」を確認すると、保護者の見学はいつでも歓迎で、幼児・低学年のうちは慣れるまで付き添いを推奨している、とありました。教室からも、年長の間くらいまでは親も授業に参加してほしい、という話がありました。学習には保護者の応援の影響力が大きい、という考え方のようで、しばらくは隣について様子を見守ることにしました。
4回目――6から9の珠まで進み、集中時間も25分に
そして4回目。ここで少し様子が変わりました。
前回つまずいていた6の珠から、7、8、9の珠まで、比較的順調に進めることができたのです。
そして、集中できる時間にも変化がありました。1回目から3回目までは15分ほどで集中が切れていました。それがこの日は、25分ほど集中して取り組むことができました。
もちろん、その後は集中力が落ちてきます。それでも先生に励ましていただきながら、45分ほどは何とか問題に取り組み続けることができました。最後の5分は、いつものように塗り絵です。
50分間ずっとそろばん、というわけではありません。でも、最初の「15分で飽きる」状態から考えると、私にとってはかなり大きな変化でした。
レッスン後、先生からも「週2回でいけるかなと思います」と言っていただき、そのまま継続することになりました。
この日、私たちはそのまま入会を申し込みました。手続きをすると、石戸珠算学園の赤いトートバッグ、そろばん本体、そしてFireタブレットが支給されました。息子は、これをそろばん塾からの無料のプレゼントだと思ったようで、特に新しい自分専用のタブレットを手にして、かなりワクワクした様子でした。
頑張ったご褒美として、そろばん妖怪カードも2枚もらいました。私が入会の手続きをしている間、本人は先生たちと妖怪ウォッチの話で盛り上がっていました。
そして帰り道。「頑張ったからアイスクリームが食べたい」とねだられ、この日もアイスクリームをご馳走しました。
そもそも、そろばんを始めた一番の目的は、一定時間椅子に座って集中して取り組む経験を積んでほしい、というものでした。その意味では、15分から25分へと集中できる時間が伸びたことは、まさに期待していた変化そのもので、素直に嬉しく感じました。短期レッスンはこれで一区切りでしたが、しばらく継続して様子を見ることにしました。
この最終日、付き添いがいつまで必要になりそうか、先生に直接聞いてみました。答えは、「できれば小学生に上がるまでぐらいは、親に付き添ってもらった方が良い。もちろん、どうしても忙しい時には、こちらで対応します」とのことでした。
仕事が忙しい中で毎回付き添うのは、決して楽ではありません。それでも、子どもの成長の様子を間近で見られる機会だと捉えれば、悪いことばかりではない。そう前向きに考えることにしました。
もっとも、話はそう単純には終わりません。4回目のレッスンを終えたその日の夜、本人から「そろばん、全然面白くない」という言葉が飛び出しました。
少し焦りました。ただ、それでもおそらく通ってくれるだろう、という感触もありました。
その場ですぐに何か言うのは避けました。「そろばん頑張ろうね」のように、そろばんと直接結びつけて諭すと、理屈っぽく聞こえてしまい、そういうことに敏感なタイプの息子には、かえって逆効果になりそうな気がしたからです。そこで、だいぶ時間を置いてから、そろばんの話とは切り離した形で、さりげなく「忍者になるには修行が必要なんだよ。修行は大変だけど、頑張らないと強くなれないからね」というような話をしてみました。そろばんそのものではなく、「頑張ること」自体を、本人が好きな忍者のイメージに乗せて伝える作戦です。
こういう、そろばんと直接関係のない角度からのモチベーションの持たせ方は、今後も何度か工夫することになりそうです。
4回を終えて――順調な右肩上がりではなかった
4回を振り返ると、1回目は「楽しい!」、2回目は5の珠でつまずいて「そろばん、つまらない!」、3回目は6の珠でまた失速。そして4回目に6〜9の珠まで進み、集中時間も15分から25分へ伸びました。
こうして並べてみると、決して順調な右肩上がりではありません。むしろ、2回目と3回目には「これは早すぎたかな」と思いました。
でも、4歳の子どもの成長なんて、こんなものなのかもしれません。昨日できなかったことが突然できるようになったり、逆に前回できていたことができなくなったりする。今回の4回だけでも、それを実感しました。
そして、もう一つ大きかったのが、「そろばんに行きたくない」とは一度も言わなかったことです。「そろばん、つまらない」とは言いました。でも、「もう行かない」とは言わなかった。ここは、親としてかなり大きなポイントでした。
4歳のそろばんは「できるか」より「嫌いにならないか」
今回の短期レッスンを始める前、私が一番心配していたのは、そろばんができるかどうかではありませんでした。そろばんを嫌いになってしまわないか。
そろばんは、短期間で完成するものではありません。むしろ習得に時間がかかる習い事です。できるだけ長く続けてほしいと思うし、続けてさえいれば、個人差は出てしまうにしても、それなりに上達していけると思うので、嫌いになってしまっては元も子もありません(できれば小学校卒業まで続けてほしいと思っています。本人が「もっと続けたい」と思えば、その先も続けてくれて構いません)。
そう考えると、4歳の今に無理をさせて、そろばんそのものを嫌いにしてしまうのが一番もったいない。だから、「できなかったらやめればいい」という気持ちは、今も持っています。
今回の4回では、5の珠、6の珠という壁にぶつかりました。それでも、そのたびに少しずつ前に進み、最後には6から9の珠まで進むことができました。
4歳児の成長を、たった4回のレッスンだけで判断するのは難しい。だからこそ、今後も「できた・できない」だけではなく、本人が楽しめているか、無理をしていないか、少しずつ自分でできるようになっているかを見ていきたいと思います。
そして、週2回で続けることに
こうして夏の短期レッスン4回を終え、我が家はそろばんを続けることにしました。
当初は「小学生になってからでもいい」と思っていたので、かなりの前倒しです。さらに、最初は週1回くらいを想定していたのに、結果的には週2回。
親としては「4歳で週2回は多くないかな?」という迷いもあります。ただ、今回の4回を実際に見て、今のところは「やってみてもいい」と判断しました。
もちろん、この先どうなるかは分かりません。楽しく続けるかもしれないし、途中で「やめたい」と言うかもしれない。
親が「小学校卒業までやらせたい」と思っていても、子どもの人生なので、最終的には本人の気持ちを大切にしたいと思っています。
まずは週2回。4歳のそろばん生活が、ここから始まります。
この記事は、息子が実際に受講した夏の短期レッスン4回の記録をもとにしています。レッスン内容や料金体系は教室・時期によって異なるため、検討される際は各教室の最新の公式情報をご確認ください。
次回は、「そろばんに、遺伝で決まらない部分を期待している話」について書きます。
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